『オールド・ボーイ』感想 デスが本当に悪いのか問題について
映画『オールド・ボーイ』は、2003年に製作された、パク・チャヌク監督による作品だ。
あらすじ
ごく平凡な生活を送っていたオ・デスはある日、突然誘拐され、15年間監禁される。解放されたデスが、自分が監禁された理由を解き明かすために奔走する5日間の物語。
(wikipediaより)
この作品は、土屋ガロンと嶺岸信明による『ルーズ戦記 オールドボーイ』という漫画を原作にしており、
それをパク・チャヌク監督が映画化したものだ。
この映画では、監禁された男であるオ・デスと監禁したイ・ウジンとの戦いと
彼らの互いの隠された利害関係の真相が描かれている。
彼らに加えて、監禁後にデスが出会うミドという若い女性もこのストーリーで重要な鍵を握っている。
素晴らしい脚本
この作品は、映画を通して予想できないストーリー展開が魅力だ。
なぜ男は監禁されたのか?誰に監禁されたのか?
被害者と加害者の利害関係の真相が解き明かされていくのを、僕たちは目の当たりにする。
この映画の面白いところは、被害者と加害者の境界線が曖昧だということだ。
自分にとっては完全に被害者だと思っていても、実は相手からすれば自分こそ被害者だったということはよくあることだ。
そのような微妙な利害関係を15年というかなり大きなスケールで描かれている。
それだけ、互いの因縁は強いということだ。
重いストーリーを陽気に見せる演出
この作品は上記したように、15年間溜まった両者の因縁をぶつけ合う話なだけに、非常に重いストーリーをたどることになるのだが、
あえて陽気な演出を見せることで、視聴者を飽きさせない工夫が施されている。
・軽やかな音楽
この映画ではバレエを思わせるような軽やかで美しい音楽がBGMに流れる。
これによって映画全体に流れるような美しい展開を加速させたように思う。
・7.5階での戦闘シーンの撮影
デスが監禁されていた7.5階のビルでの横移動する撮影を用いた戦闘シーンは、非常に印象に残る。
狭い通路を利用して、ストリートファイターのような格ゲーを思わせるような2次元的戦闘シーンを作り上げたのは面白かった。
・ペントハウスでの戦闘シーン
ペントハウスでデスがウジンと対峙するシーンがある。
そこでデスが暴れようとした矢先に、ウジンの手下の男に思いっきり投げ飛ばされる。
その投げ飛ばされっぷりが、もうゲームの世界のように投げられていて、それが滑稽でもはや笑える。
こういう演出をしてくれる韓国映画は個人的にも好きだ。
果たしてデスが悪かったのか問題
ストーリーの終盤で、これまでの経緯の真相がウジンの口から全て明らかになる。
ウジンの主張では、デスが自分と自分の姉が性行為をしている姿を目撃したために姉が自殺してしまい、その復讐をデスに行う
というものだった。
でも、それだけが理由で15年間も監禁して復讐をするって、そんなにデスが悪いか?と思わされた。
僕が思うに、
- ウジンが姉と学校の校舎内で性行為をしていたこと自体が悪いのではないか
- デスがその話を明かしたのは親友のジュファンにだけで、ジュファンがその噂を広めたために起きたことで、悪いのはジュファンでは?
ということだ。
見終わった後に冷静に考えてみると、そんなにデスは悪いことしてないんじゃないかと思わされてしまい、彼がとても不憫に思えた。
許しを請うために舌を切ったのは、正直ほんとに違ったでしょと。笑